宿泊させて頂いているドリームハウスのオーナーから、今夜はフレンチかイタリアンを作ってほしいとのリクエストを頂いていました。
早朝の散歩から帰ってお茶を飲みながら、わたくし雇われ料理人は考えるのでした。
昨晩は鯛づくしだったので今日は肉料理かなぁ~。
夜は少し冷えるからシチューとか、煮込み料理にしようか。
それともローストするか・・・。
そんな風にメニューを考えながら、ふと窓の外を見ると少し離れた岬のあたりで何やら人が騒いでいます。
そして10分後。
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鰤(ブリ)が釣れたようです。
釣ったのは地元の釣り師です。
プロではなく趣味で釣っている人。
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なんと!その釣り師の方、家に持って帰れないから我々で食べてくれと!
なんという気前の良さなんでしょう。
めっちゃ大きいですよ。
お正月に食べるようないいサイズです。
それも陸からひょいっと投げて釣ってました。
はい、予定変更します。
肉なんて食べてる場合じゃありません。
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計測結果は78センチでした。
正確に言うと80センチ以上を鰤と呼びますが、ほぼ鰤ですから四捨五入で合格としましょう。
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そうと決まれば、わたくし雇われ料理人、ほとんど条件反射的に捌き始めます。
魚を釣るのは下手くそですが捌くのは任せてちょうだい。
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はい、この通り。
あっという間に三枚に下ろし終わりました。
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おまけにその釣り人さん、よかったら黒鯛も持って行ってー、だって。
もしかしてこの島、おさかなはタダですか?
ちょっと信じがたい世界です。
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夕方、藁焼きにして軽くスモークします。
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氷水で締めたのち、薄くスライスしてカルパッチョにしました。
スーパーで売っている白い身ではなく赤身の肉みたいでした。
昨日の鯛と同様、潮に揉まれて育った身はアスリートのように引き締まり、全身筋肉の見事なボディ。
パルミジャーノチーズを削ってかけて、すだちとオリーブオイルで仕上げます。
コリコリのピチピチフレッシュでした。
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さて、黒鯛は丸のままスープ仕立てに。
こちらは島のレモンのスライスを入れて爽やかなあっさり風味に仕上がりました。
ドライトマトと蕪も入れて。
最後はこのスープで雑炊を作って〆に頂きました。
めちゃくちゃ良い出汁が出て、食べる前から美味しいと決まっているやつです。
ちょっとイタリアンなんだか鍋物なんだか、その中間ぐらいの食べ物になりましたが、美味しければ良し。
そんな二日目の晩ご飯でした。
ほとんどタダの材料費で、なんと豊かな食生活なのでしょう。
お腹と心が満たされました。
ではまた。
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